2026年6月11日
MAME(Mae Arawann)特集 — BL の女王が GL に来た日
TharnType / Don't Say No / Love By Chance / Love Storm / Love Sky など、タイ BL の世界的ヒットを連発してきた小説家 MAME(Mae Arawann / 本名 Orawan Vichayawannakul)。Me Mind Y の共同創業者でもある彼女が、2026 年『AI Girl Series』で人生初の GL 主流作の脚本に挑む。BL シェアードユニバース(MameVerse)の全貌から、GL 進出の意味まで深掘りします。

タイの BL ファンに "MAME" という名前は説明不要のレジェンドです。 TharnType: The Series(2019)、Don't Say No(2021)、Love By Chance(2018)、Love Storm、Love Sky ── タイ BL の世界的ヒットを次々と世に送り出し、自身の小説 12 冊以上がシェアードユニバース「MameVerse」を成すこの怪物作家が、2026 年、ついに人生初の GL 主流作の脚本に挑みます。 作品は、Me Mind Y の More Than Her Project 第2弾 AI Girl Series(6/24プレミア)。
しかも MAME は、その制作会社 Me Mind Y の共同創業者でもあります。 書く側であり、作る側であり、業界そのものを動かしてきた人物が、BL から GL に物理的に "場所を移す" ── これは、ジャンル単独の事件ではなく、タイ・クィア・コンテンツ全体の構造変化を象徴する出来事です。
本記事では、MAME の歩み、MameVerse の全貌、そして AI Girl Series で GL に来た意味を整理します。
プロフィール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本名 | Orawan Vichayawannakul(อรวรรณ วิชญวรรณกุล) |
| ペンネーム | MAME(メイ)、Mae Arawann(メイ・アラワン) |
| 出身 | タイ |
| 主な肩書 | 小説家、Me Mind Y 共同創業者、AI Girl Series 製作総指揮 |
| 主な発表媒体 | Dek-d.com(タイ最大級のオンライン小説プラットフォーム) |
| @mame_orawan | |
| 代表作(小説) | TharnType Story / Behind The Scenes / Don't Say No When Hearts Are Close / Love Storm / Love Sky / My Accidental Love is You |
| 代表作(映像化) | TharnType(2019)/ Love By Chance(2018)/ Don't Say No(2021)/ Love Storm / Love Sky |
第一章:Dek-d.com から BL の頂点へ
Web 小説作家としての始まり
MAME のキャリアは、タイ最大級の Web 小説サイト Dek-d.com での執筆から始まりました。 Dek-d は、若い読者層を中心に、無料で長編連載が読める投稿型プラットフォームで、タイの BL/GL/恋愛小説の主要な揺りかごになってきた場所です。
MAME はここで MameVerse と呼ばれることになる共有世界観を持つ小説群を連載開始。
- My Accidental Love is You(後の Love By Chance)
- TharnType Story: Hate You, Love You More
- Don't Say No When Hearts Are Close
- Love Storm
- Love Sky
これらの小説は、登場人物が他作品にカメオ出演するシェアードユニバース構造。タイ BL 界に "MameVerse" という独立したファンダム文化を成立させました。
映像化第一弾:Love By Chance(2018)
最初の主要な映像化は、2018 年に Studio WabiSabi が制作した Love By Chance(バイチャンス)。 原作小説『My Accidental Love is You』を全14話のテレビシリーズとして展開。 Plan / Pete のペア(プランピート)が世界的人気を獲得し、MAME の名が国際的に広まる契機になりました。
第二章:TharnType と Me Mind Y の創業(2019)
TharnType: The Series — ジャンルを定義した1作
そして 2019 年、TharnType: The Series が放送開始。**Mew Suppasit × Gulf Kanawut(MewGulf)**主演。
TharnType は、タイ BL 界のひとつの基準点になった作品です:
- 国際的なファンダム動員:日本・中国・南米・欧州まで広範
- ファンミーティング・グッズ展開でペアブランドの経済圏を確立
- 続編、スピンオフ、映画化計画など、シリーズ運営モデルを確立
- タイ BL = 国際輸出可能なコンテンツだとマーケットに証明した
Me Mind Y の創業 — "書く側" から "作る側" へ
ここで重要な事実:TharnType の制作のために、MAME は Me Mind Y を共同創業しています。
これまで作家として制作会社に脚本提供していた立場から、自分の小説を、自分の制作会社で映像化する立場へ移行。 **「作家の手で原作の意図を歪めず映像化したい」**という思いが、Me Mind Y というスタジオの存在理由そのものになりました。
Me Mind Y はその後、TharnType の続編、Don't Say No、Love Storm、Love Sky と、ほぼ MAME の小説群を映像化するための専門スタジオとして機能していきます。
第三章:MameVerse の拡張(2020〜2024)
主要映像化作品(時系列)
| 年 | 作品 | 原作(MAME) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2018 | Love By Chance | My Accidental Love is You | Studio WabiSabi 制作・MAME 本人は脚本に関与 |
| 2019 | TharnType: The Series | TharnType Story | Me Mind Y 制作・MAME 脚本 |
| 2020 | TharnType 2: 7 Years of Love | TharnType Story 続編 | Me Mind Y 制作 |
| 2021 | Don't Say No: The Series | Don't Say No When Hearts Are Close | Me Mind Y 制作 |
| 2022 | Love in the Air(บรรยากาศรัก เดอะซีรีส์) | Love Storm + Love Sky の 2 作統合 | GMM 25 放送・全13話。MAME は原作小説のみで脚本は別 |
| 2023〜 | スピンオフ・コンピレーション複数 | MameVerse 内 | Special Episode、Back to School、Wedding Plan ほか |
TharnType と Don't Say No は MAME 自身が脚本も担当、その他の作品では原作小説の提供にとどまる場合が多い、というのが MameVerse の構造です。 原作小説12冊以上、映像化作品は本編・スピンオフ・特別編を含めて10作以上に及び、Me Mind Y はタイ BL 業界の主要スタジオとして確立されました。
第四章:GL への進出 — More Than Her Project と AI Girl Series(2026)
"BL の女王" が GL を書く
そして 2026 年、MAME は タイ BL の象徴的存在としてのキャリアの上に、人生初の GL 主流作の脚本を上乗せします。 作品は AI Girl Series(จะ Gen จนกว่าจะเจอ)。
これは、Me Mind Y が立ち上げた GL 専門ライン **「More Than Her Project」**の第2弾。MAME は脚本だけでなく、製作総指揮(Executive Producer)として、作品全体の方向性も握っています。
AI Girl の物語と MAME の作家性
公式あらすじを意訳:
内向的な AI 顔デザイナー Gen(Mayyu Kawisara 演)のもとに、ある日謎の小包が届く。中身は彼女の理想そのままの顔をした人型 AI ロボット。返却方法を探そうとして誤ってボタンに触れた瞬間、ロボットは記憶を失う。チャーミングで playful なロボットに「Ai」と名づけて、二人の不思議な共同生活が始まる──。
ここに、MAME の作家性が複数現れています:
1. 「初対面 → 共同生活」の王道構造
TharnType(ルームメイト同居)、Don't Say No(隣家暮らし)、Love Storm(同じ屋敷)など、MAME の作品の多くは "強制的に近距離になる男女(または同性)の関係性" から始まります。 AI Girl も**「家に届いた箱が人間だった」**という、究極の "強制同居" シチュエーション。
2. 「ツンデレ」と「ポンコツ猛アタック」の往復
MAME の代表的なキャラ造形は、強気な役が相手の前ではポンコツ化する という落差。 AI Girl の Gen(内向的でクール)と Ai(playful・flirtatious)は、まさに MAME 王道のダイナミクスです。
3. シリアスとコメディの絶妙なバランス
TharnType は「過去のトラウマ」、Don't Say No は「家族の確執」など、MameVerse は深いシリアスの軸を持ちつつ、徹底的にコメディとして楽しめる作りを両立してきました。 AI Girl も "AI が記憶を失う" という重めの設定に、"Gen が振り回される" コメディを乗せる構造で、同じ DNA を感じます。
詳細は AI Girl Series 先行ガイド も参照。
なぜ "BL の女王が GL に来た" のが事件なのか
1. インフラの転用
MAME は タイ BL の世界的成功を支えてきた中核作家のひとり。彼女が GL を書くということは、BL で培われた "ヒットさせるノウハウ" がそのまま GL に持ち込まれることを意味します:
- 国際ファンダムを動かす世界観構築
- 連載小説からのファン基盤の引き継ぎ
- ペアブランドを長期育成するシリーズ運営
これらはタイ BL が10年かけて確立したスキルセットで、GL は今まさにこれらを必要としていました。
2. シェアードユニバースの可能性
MameVerse は 20 作以上の BL を 同じ世界観で繋ぐことで、ファンに「次は誰の話か」という連続的な楽しみを提供してきました。 AI Girl が More Than Her Project の中で同様の "GL Universe" を形成する可能性があり、もしそうなればタイGL に初めて本格的なシェアードユニバースが成立します。
GMMTV の GL Universe 構想(23.5 / Pluto / Girl Rules を緩く繋ぐ)と並ぶか、それを超える設計を、MAME はすでに BL で実証済みです。
3. 「BL 作家が GL を書く」ことの意味
MAME 自身は女性ですが、これまでの作品は男性同士のロマンスでした。 「同じ作家が、女性同士のロマンスを書く時、何が変わり、何が変わらないのか」 ── これは、ジェンダー表現の翻訳可能性という、ジャンル論的にも興味深いテーマを提示します。
詳細は タイGL 新興スタジオ勢力マップ 2026 も参照。
どこから観るべきか — MAME 入門
MAME の作家性を体感したい方へのおすすめ視聴順:
- AI Girl Series(2026・全7話) — まず最新の GL から
- TharnType: The Series(2019・全12話) — MameVerse の原点、世界的ヒット
- Love By Chance(2018・全14話) — 最初の映像化、王道 BL
- Don't Say No(2021・全12話) — 大人向け、家族劇要素強め
- Love Storm / Love Sky — MameVerse の続きを追う
タイGL ファンとしては、まず AI Girl で MAME の作家性に触れて、気に入ったら MameVerse の BL 過去作で作家世界の広がりを楽しむ、という入り方が自然です。
関連リンク
- AI Girl Series 作品詳細
- AI Girl Series 先行ガイド
- タイGL 新興スタジオ勢力マップ 2026
- Mayyu 個別ページ / Chanya 個別ページ
- タイGL とは — 完全ガイド
Dek-d.com の Web 小説から始まり、TharnType でジャンルを定義し、Me Mind Y を創業して制作の主導権を握り、そしていま GL の最前線に立つ ── MAME のキャリアは、タイ BL/GL コンテンツ産業の進化そのものです。 6 月 24 日、AI Girl Series 第1話で、彼女が GL の文脈で何を書くのか。 タイ BL ファンも、タイ GL ファンも、ぜひこの歴史的な瞬間を一緒に体験してください。

